2017年01月02日

彼を忘れない

「先生、この子可愛かったでしょ!」

Rくんはずっと闘病で頑張ってきた。
子供の頃はそれほど大病を患う子ではなかったが、10歳の時にたまたま血液検査で異常が見つかった。
それから3年半、毎月診させていただいた。

3年半ずっと調子が良かった。
亡くなる少し前に調子を崩した時も、顔つきはすごく元気。
診察にくる時はいつもすごくおとなしくて…
けれど他のワンちゃんには気が強いらしく、小さな体で吠えかかっていた。
そのギャップが微笑ましく、診察の時はいつもずいぶん我慢してるんだなあと感心していた。

彼は最後の最後まですごく勇敢だった。
泣き叫ぶこともなく、きりりとして、いつも男前だった。
体力が尽きてきて、寝たきりになった時も静かに過ごしていた。
ほんの数日前には目がらんらんと輝いていて、本当に病気なのかしらと思うくらいだったのが、わずか数日で命の灯火がだんだんと小さくなっていくのが手に取るようにわかる。
それまでの毎日の通院を中止し、ご家族と過ごしていただくことにした。

ご家族は数日であったがとても憔悴され、疲れ切っておられた。
私はなすすべもなく、ただただ心配していたが、亡くなったと連絡をいただき、最後にご遺体を綺麗にさせていただいた。
亡くなった後も彼は立派に戦い抜いた姿だった。

この仕事をしていると、すべての子を救えることはできないのはわかっている。
生あるものは必ず亡くなるのは自然の摂理。
そして残されたご家族や私たちはその子のことを思い出しながら毎日を過ごしていく。

最後に言われた飼い主様の言葉が今でも耳に残っている。
本当に可愛い子でした。
そして、とても立派でした。
彼に巡り会えたことは私も幸せでした。
残念ながら新年を迎えることはできませんでしたが、いつまでも彼のことは覚えています。
本当にありがとうございました。


皆様、新年明けましておめでとうございます。
新年らしくないご挨拶とさせていただきましたが、私たちの仕事は常に過去に診させていただいたたくさんの子達の結果として今日があります。
今日という一日を、今年という一年を大切に、しっかりと前を向いて生き抜いていきたいという思いを新たに心に刻むべくこのような文章を書かせていただきました。
本年も、よろしくおねがいいたします。
posted by もとき at 14:32| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
こんにちは!13年間、りんごの樹でお世話になっていたチワワの「もも」の家族です。
この度は、ももが本当にお世話になりました。
ももが亡くなった当日、病院にいらっしゃった先生・スタッフの方の暖かい気遣いや
後日の近藤先生からのお電話は、悲しみの真っただ中にいた
私たち家族(特に母)の気持ちに、大きな癒しと救いを与えてくださいました。
もも亡き後の母の事が心配でしたが、病院の皆さまや散歩友達のサポートもあり
少しずつ元気を取り戻しているようです。

私たち家族にとって、はじめての動物の家族であったももが
りんごの樹に出会い、お世話になった事は本当に幸せな事でした。
本当にありがとうございました。
今後とも、たろう共々よろしくお願いいたします。
Posted by いくよ at 2017年09月20日 14:35
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