2017年07月28日

再び、外科実習!

先日、久しぶりに岐阜大学で外科の講義と実習を行ってきた。
授業は獣医学部の4年生対象なので、内容はごく基本的な事柄である。
私も大学時代、興味のある授業は目を輝かせて聞いていたが、そうでない授業はたいてい一番後ろで寝てた。
なので、自分の授業でも寝る学生が続出しないようにそれなりに気を使う。
ただ私が喋ってるだけでは寝てしまうので、学生同士でディスカッションさせたり話させたり、あるいは黒板に意見を書かせたりしながらの授業を行った。

授業の前に外科の教授と最近の学生の実習状況について聞く。
すると衝撃的なことが分かった。
外科実習で実際に手術を行うのは交代でやっても5〜6人だけで、残りの学生は見てるだけだという。
いろいろ社会情勢が変わって全員が手術実習をすることができないのだという。
この傾向はどこの大学でも似たようなものらしい。
すると国家試験に受かって免許を取った新卒獣医師のじつに8割が、一度も自分で手術をしたがないということになる!
国に認められた免許皆伝の獣医なのに、縫ったことがあるのはぬいぐるみだけ。
生身の体はお腹を切ったこともない、そんな獣医が世の中に出てくるわけだ。

岐阜大学は学年に大体30名くらいの学生がいるが、その中で小動物臨床に進みたいと思っているのはわずかに数名だけ。
あとは企業とか公務員になりたいという学生がほとんどだった。
医学部ではそのほとんどが臨床医になるのを目標にしている。
獣医学部でも同じだと思っていたので、この現実は非常にショッキングだった!
外科や内科を学んでいる目的、それは国家試験に合格するためのもの。
実際に手術や投薬をして患者を治すわけではない。
それなのに形式ばかりの授業や実習を受け、将来患者を助ける予定にない者たちが大切な献体で手術実習を行うこの現実。
全く意味がわからない。はっきりいって無茶苦茶である。

アメリカの獣医科大学は4年制の一般大学を卒業してから入学する大学院大学であり、入ってくる学生は全員臨床をするために入ってくるので日本のこういった中途半端な現状にはならない。
実習に供される動物たちは真剣に一人前の臨床獣医になろうとする卵のために供され、一つの命が何百何千という命を救うために役立つ。
外科実習で実際に手術を行ったという学生に聞いてみたが、彼女は小動物臨床には興味がないということであった。
なぜこういうことが起きてしまうのだろうか?不思議でならない。
こういうことを言うとまた怒られそうだが、人には多様性があるから何に興味を持つかは自由だが、大学というところは専門的な事柄を学ぶところなので公務員になりたいのであれば公務員に必要なスキルを学んだ方がいいのではないかと思う。

私は幸いにも学生の時にとても多くの手術をやらせていただいた。
そういう時代でもあったのだが、多くの献体や臓器で手術練習をすることができた。
切開、剥離、結紮、縫合という外科の基本を毎日のように練習した。
そして外科に興味を持ち、今でもその気持ちは変わることなく続いている。

おそらく医学部の学生は獣医学部の学生よりも多くの実習をおこなっているはずである。
ぬいぐるみしか縫ったことがないような医者ではどうにもならないから、大学がきちんとそうした教育はしていると思う。
でも獣医学部では悲しいかなこれが現実だ。
見てるだけで興味などわくはずがない。
立派な獣医になって多くの動物たちを救おうと思わないだろう。
ちょっと悲しくなってきた。

数少ない小動物臨床の希望者は思い思いに動物病院に就職し、それから先輩に見よう見まねで手術を教えてもらうことになる。
おっかなびっくり、やり方だけ教わったら後は実地訓練。
患者さんのお腹で練習し、数少ない成功体験を糧に臨床獣医の道を進んで行くことになる。
だから、手術とか臨床をしっかり「教えて」くれるところにみんな就職したがる。
そしてある程度できるようになったら、もう少し専門性の高いところ、あるいは給料がいいとか働きやすいとかいうところに所属を移していく。
今回こういった事実がわかったので、あることを考えた。
うちにもほとんど経験のない新卒の獣医師たちが入ってくるので、大学で教えられないのなら自前で教えていこうと思う。
ウェットラボならなんとかできると思うので、胆嚢付肝臓や腸管付胃を購入し、志の高い若い連中に私がこれまでに学んだ多くの技術を教えていきたいと思う。
公務員がダメと言っているわけではないが、数少ない手術の実習チャンスなら臨床を目指す学生が優先的に経験した方が動物たちのためになると思うのだが…
posted by もとき at 02:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年07月07日

夜間救急!

今朝も午前4時過ぎに急患の電話があり対応した。
最近は夜中12時過ぎの夜間救急の電話はかなり少なくなったが、それでもたまに対応しなければならない時がある。

先日も大学で若い先生方と話をしていたとき、夜間救急の話題になった。
その先生の病院では週に一度、夜間の当直があるとのこと。
何もなければ深夜12時と午前3時、6時の入院患者の見回りがあるだけで寝ていられるが、急患がある時は寝れない時もあるという。
一人での当直ではなく、看護師さんも一名当直されるということで大変な職場だなあと思うと同時に、そういった夜勤の仕事を中止しようという声が出たことはない、と聞いて凄いなあと感心した。
むしろ救急の現場では自分が鍛えられるからやりがいがあると聞き、自分の学生時代のことを思いだした。

日獣大の研究室時代は毎日朝から夜中まで無我夢中でやっていた。
実験、研究、診療補助、手術補助、入院看護などなど。
数え始めればきりがないほど働いて?いた。
いや、働くという感覚はなく研究室の仕事に没頭していた。

とても大変だったがその時の経験が今の私を支えていると断言できる。
夜間救急はとても大変だが、患者さんも喜んでくれ、自分の腕も上がるし経験も増える。
やりがいを感じることのできる素晴らしい仕事だと思う。
でも、やっぱり体は結構辛い…(笑)
posted by もとき at 08:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記