2016年07月28日

オーストラリア

オーストラリアまで行って外科実習をしてきました。
わざわざそんなに遠くまでなぜ?
ですよね、本当に。

日本ではいろんな理由があって実習をするのが非常に困難です。
人医の世界でもそうですよね。
献体されたご遺体で学ばせていただくのも、非常にデリケートな問題で日本では難しいです。

最近は模型が非常に良くできていて、大学でも90%以上の外科実習は模型を使って行うそうです。
でも大学では模型を購入するお金がないから、百均で材料を買ってきて外科の学生が模型を作っているそうです。

腸を縫合するのは実はとても難しいです。
簡単だという先生は何度も本物の腸を縫っているから簡単だと言えるんです。
模型でしか縫ったことがない先生が、いざ本番で実際の腸を縫って簡単だと言えるはずがありません。

学生の時に模型でしか腸を縫ったことがない先生に、大事な我が子の腸の縫合をお願いする気になるでしょうか?
私は絶対に嫌です。
そんな経験のない先生に絶対に縫って欲しくないです。

私たちの仕事は残念ながら経験があればあるほど成功率が高まります。
だから一生経験を積む努力をします。
経験したことがなければ、なんとか経験を積めるようにいろいろ頭を絞ります。

人の手術を見学に行ったり、ビデオを見たり、模型でトレーニングしたり、知り合いの先生に手術の助手に入ってもらって教えてもらったり、海外まで出かけて行って上手な先生に教えてもらったり、学生の頃から実にいろいろ努力をしてきました。
これからも死ぬまで技術を高めていかなくてはいけません。
技術を高めて多くの動物たちを、命を救わなければいけません。

それが私たちの使命であり、生まれてきた理由だと思います。

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オーストラリアの大学はとても綺麗で広くて気持ちがいいです。
一昨年も書いたと思いますが、こんなところで勉強できるのが羨ましいです!
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2016年07月18日

最新式尿管結石手術

尿管結石はとても痛いらしい。
私はなったことがないが、父が罹患し、とても痛かったと言っていた。
知人の先生も尿管結石で悶絶し、救急車で運ばれたらしい。

実はこの尿管結石、猫では非常に多い疾患である。
若年でも発症することが最近分かってきた。
血液検査で急性腎不全と診断されている症例の何割かで、実はすでに尿管結石が出来ているのではないか、という話も聞く。

小さな結石だと超音波検査では見逃すことも多い。
また、血液検査だけで診断名がついてしまい、超音波検査まで進まないことも多い。
こういったときに非常に有効なのが「無麻酔CT検診」だ。

え〜CTですか!
と、びっくりされる方も多いが、まず見逃しが無いことが大切なポイント。
キャリーに入れて撮れば、比較的おとなしく撮らせてくれる。
早期発見、早期治療が極めて重要である。

尿管結石は一旦できてしまうと非常に厄介だ。
ちょっと元気がない、とか、ちょっと食欲がないという症状だけの場合もある。
こういう時は血液検査でも異常が出ない。

人であれだけ痛いのだから、たぶん猫もすごく痛いと思う。
痛いけど我慢してて、他人が見ると「ちょっと今日は元気がないな」くらいにしか感じないかもしれない。
ちょっと元気がないので点滴して様子みましょう、ということで知らないうちに治療されていることもある。

飼い主さんも獣医側もまさか偶然治療されているとは夢にも思わない。
そうやって時が過ぎ、腎臓がだんだんやられて、ついには慢性腎不全になって見つかる。
人だったら、こんなことは絶対にないことだ。

この尿管結石、手術方法もいくつかあるが、過去には再閉塞や死亡率が非常に高かった。
幸運なことに最近、画期的な手術方法が考案され、世界各国で実施されつつある。
日本にもここにきてやっと導入された。

先日、神奈川の日大まで行ってこの画期的な手術を学んできた。
実際の手術に使う本物の器具機材を用いたドライラボは非常に高額なセミナーだったが、実際に手で触れ、理論を学び、収穫はとても大きかった。
どういうトラブルが多いのか、その対処法は?
いいことばかりでなく、こういった結果が良くなかった時の情報が極めて大切だ。

おそらくこの手術によって、猫の尿管結石症の多くが助けられると思う。
帰りの名古屋駅のホームにあった看板にふと目が止まった。
「挑む人間がいる限り、記録は塗り替えられる」

現状に満足する、あるいは失望することなく、常に前を向いて挑戦していきたい。
いくつになっても、上がっても下がっても挑戦していきたい。
大したことができないかもしれないが、一歩づつでも登っていきたい。
大仰に構えず、たわいもない人生を過ごしていきたいと思う。

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2016年07月16日

アイデアの考え方!

ちょっと前にテレビCMでやっていた後ろ向きに走るジェットコースター。
絶叫系があまり得意でない私は「ひゃ〜、こんなの死んでも乗らんわ」と思ったが、いまでもそのインパクトは覚えている。

暑い時期限定だと思うが、来園者に水をかけまくる?テーマパーク。
パーク内全部?でゾンビが襲いかかってくるハロウィン。
いまもしょっちゅうCMしてるハリーポッター。

そう、みなさんご存知、大阪のUSJ。
前に私も行ったことがある。
それほどテーマパーク好きではない私だが、それでも相当印象に残ってる。
気にも留めてなかったが、聞けばこれらのイベントを考え出してるのは一人のひとらしい。

そういえば、前に行った時は映画会社のテーマパークで、そう何回も来るとこではないな、というイメージだった。
だから、開業当初は来客数が多かったが、だんだん尻窄みになっていたらしい。
それがここ数年はV字回復で、ディズニーランドを超える月もあるほど人で溢れかえっているという。

いま読んでる本にはこんなことが書いてあるが、そのアイデアの出し方は「ピン!」と閃くものではなくて、左脳人間がロジックに考え、データと照らし合わせて絞り出したものだという。
それでも、一発ならともかく、こう幾つものアイデアを出すのだから大したものだ。
すべてインパクトがあって、人が思いつかないようなアイデアだ。

漠然と、すごいアイデアを出してやろう、と考えてしまうと大きな山が立ちはだかって一歩も前に進めない。
だけど、いろいろ策を練って、条件を整えて、一点に集中して頭を絞れば次の一手がみえてくる。
多分それは誰にでもできて、その人のいままで歩んできた道とか経験によって十人十色だと思うが、まだまだ気がつかない「ええ〜!」と思うようなやり方がある気がする。

一点集中するのに、どこに集中するのか。
違うところから飛び込んできた「準備が大切」という話に重複するが(日常の行動の中で、ある事を考えていると、全く違うところから同じような、その考えにリンクするような発言だったり書物だったりを目にする事がある。やはり偶然は必然だ)、ただがむしゃらに突っ走るのも一つの方法だが、ちょっと頭を整理して、考えるポイントも絞り込むとアイデアが出やすいという事を学んだ。

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先日いただいた手ぬぐい。肌触りがイイ!
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2016年07月13日

囚われの身!

人の目なんか気にしないで、
思うとおりに暮らしていればいいのさ。
きみたちは、どこかへ行くとちゅうかい?
人と違った考えを持つことは
一向にかまわないさ。
でも、その考えを無理やり他の人に
押し付けてはいけないなあ。
その人にはその人なりの考えがあるからね

ムーミン谷のスナフキンの言葉だそうです。

スナフキンは気軽に過ごしながら、人生のいろんな物事を考えるのが好きだとか。
いつもふらっとやって来ては、またどこかへ去って行ってしまう、みんなの憧れ的存在。
最小限度のものしか持たないミニマリスト。

孤独を愛し、世間の習慣や慣習など無視して放浪生活を送るボヘミアン。
持ち家もなく寝泊まりはテント泊。
持ち物を増やすことに執着せず、モノを増やすこと自体に恐れさえ抱く。

ひとりが好きで、人から干渉されるのは大嫌い。
邪魔されるのも好きではない。
孤独を楽しみ、自由気まま。
食事の味にもこだわりがない。

こだわって、コレクションして、モノが増えて、どんどん自由がなくなっていく。
いい車乗って、いい家に住んで、美味しいモノ食べて、高級なバック持って、高い時計つけて、高いスーツ着て…
どんどんどんどん窮屈になっていくね〜
そういえば、ちょっと前に書いたムヒカ元大統領も同じこと言っていた。

執着(しゅうじゃく)とは、仏教において、物事に固執し、とらわれることだそうです。
俺、いろんなモノに囚われてるなあ…
もう50になるし、モノに囚われない、自由な人生送りたい(笑)

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これにも囚われてるね
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2016年07月10日

門脈シャントも腹腔鏡で!

腹腔鏡でできる手術が増えている。
昨日も名古屋で行われた中部小動物臨床研究会の月例会で報告してきた。

PSS-Rap short ver movie.zip

発表日が決まっていたので着々と準備を進めていたが、連日の診療・手術が忙しくて結局直前までバタバタしていた。
診察の合間をぬってのCT画像の加工、動画編集だったが、好きなことをしているのであまり苦にならなかった。

今回発表した方法はまだまだ改善の余地があるし、適応基準をしっかり決めていく必要がある。
だが、開腹手術よりはるかに患者の負担は少ないだろうし、手術時間の大幅な短縮も見込めると思う。

低侵襲で手術時間も短ければ重篤な手術合併症である術後発作も軽減できるのでないかと考えている。
技術的にはそれほど難しい方法ではないので、外科医にとってもオーナーにとっても、そして何よりも動物たちにとっても良い方法だと思う。

↓実際の手術動画。苦手な人は見ない方がいいかも。
posted by もとき at 12:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2016年07月08日

模型

3Dプリンタで模型を作ってくれる業者さんに頼んで、犬の背骨の模型を作ってもらった。
骨と骨の間には特殊な素材を入れ、自由に曲がるようにしてみた。
出来上がるまでに何度もやり取りして、構想から出来上がりまで結構時間がかかった。

出来上がったものが届いた。
プチプチで厳重に巻かれて、まるで美術品のような扱いでとどいたのでびっくりした。
これは作る側の人たちの思い入れがあるんだ、と思った。

今回は初めて頼んだので、本当に自分の思うものができるか不安だった。
一つ作るのに何万円もかかる。
だから失敗したくなかったし、何度も交渉して試作品をいくつも作ってもらった。

初めの見積りには試作品の値段は入っていなかったが、親切にも費用はかからず試作していただいた。
費用がかからなかったからではないが、終始とても親切な対応をしてくれた。
親切に対応してくれると、こちらも嬉しくなる。

出来上がりを見るととても満足した。
人に見せても「すごいね、これ!」と言われる。
だいぶ費用がかかったが、作ってよかったと思う。

これ何に使うのか。
犬が椎間板ヘルニアになった時、検査でヘルニアの部位を特定するのだが、その時に背骨のなかに針を刺して造影剤を注入する。
その時の微妙な感覚は練習して覚えるしかない。

もちろん実際の生体で練習するわけにはいかないので、今回このような模型を作った。
これを利用すれば、どこでも何度でも練習することが可能である。
すごい世の中になったものだ。

posted by もとき at 11:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2016年07月05日

腹腔鏡手術

肝臓に付いている袋、胆嚢は肝臓で作られた胆汁を貯めるところ。
胆汁は普通はサラサラの液体で、緑色をしている。
ところが病気になるとこのサラサラの液体がドロドロになり、もっと進行するとネチョネチョしてくる。
まるでスライムのようだ。

スライムがさらに悪くなると、水分が吸収されだんだん中心から固くなってくる。
胆嚢はパンパンに張ってきて、表面を走ってる血管の流れが悪くなる。
そうすると今度は胆嚢の壁が壊死してきて、色も青白くなる。

そのまま放っておくとやがて胆嚢が裂けて、中身が飛び出る。
体はなんとかその飛び出た胆嚢の中身をそれ以上広がらないように脂肪の膜である大網を癒着させて対応する。
バンドエイドみたいなものだね。

このくらいで止まってくれればラッキーだけど、中身のドロドロが胆嚢からでる胆嚢管、さらにはその先の総胆管に詰まり始めると黄疸が出てきて状態がさらに悪くなる。
黄疸がではじめると元気もなくなってくるね、だいたい。

ここまできちゃうとさすがに手術で助けるのはきつくなってくる。
裂けたところがぐちゃぐちゃになってるからね。
一番安全なのはネチョネチョがちょっと固くなってくるころ。
胆嚢の壁が壊死するちょっと前くらいがいいと思う。

だからあまり「様子をみる」のはよしたほうがいい。
様子を見すぎて手術ができなくなるケースもある。

いまは腹腔鏡で胆嚢切除ができるようになったから動物たちの負担も少ないと思う。
自分に置き換えてみたらわかるけど、お腹を何十センチも切られたらそりゃ痛いよね。
痛いのは嫌です。痛くなくて直せるならそれにこしたことはない。

先日も腹腔鏡で胆嚢摘出した子がいるけれど、翌日から元気いっぱい。
こちらも嬉しくなるね。
これからもこういう痛くない手術で助けられる子たちが増えますように。


ね、ネチャネチャ、ベッタリでしょ。こんなのが詰まったらそりゃ取れないよね。
posted by もとき at 13:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2016年07月03日

歯科業界の凄さ

先日、九州で歯科医院をやっている友人が突然訪ねてきた。
訪ねてきた、と言っても残念ながら彼には会えなかった。
午前中の診療が終わってふと自分の机をみると、お昼ちょっと前にどうもりんごの樹に立ち寄ったらしい。
彼の名刺が置いてあった。

なんだ、一声かけてくれれば、と思って電話してみた。
聞くとセントレア(中部国際空港)でレンタカーを借りて、そこから目的地である岡崎市(りんごの樹の隣の市)までナビで行く途中、偶然にもうちの前を通ってまさかと思ったがうちの病院だった、と驚く展開。
りんごの樹が愛知のどこにあるか全く知らなかったけれど、偶然でも前を通りかかるとはびっくり!とは本人の弁。
病院に寄った時は私がちょうど診察中で、忙しそうだったから声を掛けずに名刺だけ置いてきた、ということだった。

なんだそうだったのか、みずくさい。
久しぶりだから食事にでも行こう、と誘ったが、ところでなぜ岡崎に行く予定があったのかそちらに興味がわいた。
彼のことだから、セミナーでもあったのかなと思ったが、名古屋ならともかくわざわざ岡崎でやるのも変だしな、と思った。

聞くと、非常に参考になりそうな人気の歯科医院があって、そこに見学に行くという。
そこはまだ開院して数ヶ月の病院だけれど、組織がしっかりしていて参考になりそうだから、患者さんが凄くたくさん押し寄せているらしく勉強になるからやってきた、とのこと。
わざわざ九州から飛行機とレンタカーを乗り継いで、それも片田舎の一軒の病院を見るためだけにそこまでするか…

これって凄くないか!?
彼はもう既に歯科医院を運営していて、今度分院を出すということでいろいろ研究しているのはわかるけど、その飽くなき探究心というか、研究心というか、とにかく参考になることならどんどん行動する、というのに感心した。
どうしたら良い病院ができるのか、どうしたら良い組織ができるのか、どうしたら患者さんに喜んでもらえるのか…

歯科の世界では他院に日常的に見学に行くのはどうも常識のようだ。
その岡崎の歯科医院も興味があったのでホームページを覗いてみたが、その先生もいろいろ見学に行っていると書いてあった。
そういえば北海道の歯科の知り合いもいろいろ見学に行ってるし、また逆に他院からもたくさんの見学者があるようだ。

コンビニよりも多い歯科医院。
動物病院よりはるかに競争の激しい歯科業界。
華麗にみえる歯科業界だが、彼らは日常診療の合間をぬってこうした地道な努力をしている。
いろいろ勉強会はあるけれど、そうした勉強もしているけれど、だけど九州からわざわざ一日かけてやってくる、こんな田舎まで自分の目で見にくるところが凄い。

大した行動力だと感心し、同時に自分もぜひ真似してみよう、うちのスタッフも連れて他院見学に行ってみよう、と思った。

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最近、院内のあちこちに張り出した、その名も「りんごの樹マナー」。これを見て日々の行動を見直します。自分では結構気に入ってるんだけど…
posted by もとき at 16:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2016年07月02日

治療の限界と可能性

誰しも治療の限界というものはあるだろう。
だけれども、その限界を超えなければ可能性は広がらない。
限界を超えるところは挑戦である。

挑戦は準備を整え、修練を積み、十分な覚悟を持って行うべきもの。
そうはいっても挑戦は常にリスクを伴う。
私はリスクを恐れる。

リスクを恐れてばかりでは前に進めない。
前に進まなければ現状維持であり、成長は望めない。
リスクを恐れない用意周到な準備が必要になる。

いつまでたっても準備が終わらない。
慎重であればあるほど前に進めない。
石橋を叩いても渡らない自分がいる。

実際やってみれば案外うまくいくもの。
それはわかっている。
でも、そこが意気地無しなのか。

自分でも臆病者だということは理解している。
でも、その気持ちに負けない自信とかチャレンジの心を持ちたい。
そのためには、ひたすら努力しかないのか。

誰もが皆、人の知らないところで努力している。
努力は自分にしかわからないし、他人には知る由もない。
結果しか、華麗な姿しか他人は見ることができない。

結局そう考えると、まだまだ自分は甘すぎるのか。
やっているように思うけど、箸にもかからない程度なのかもしれない。
みんな悩んでると思うけど、悩まないくらい馬鹿な方がいいのかもしれない。

考えすぎは何にもならない。
何も生まない。
考える前に行動あるのみ。

自分の気持を素直に吐き出そう。
吐き出すと楽になるのかな。
楽にならなくてもいいから、前に一歩踏み出す勇気を持ちたい。

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こんなところにもハートがにこにこ
ちょっと嬉しい!
posted by もとき at 02:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記